韓国識者の提言「第一列島線の内側にある唯一の国、この地政学的価値を活かせ!」

投稿者: | 2021年9月13日

朝鮮日報が中国政治·外交専門家のインタビュー記事を掲載した。「韓国エリートたちは、中国の接待と特恵(特別な優遇や恩恵)攻勢に翻弄されている」というもの。
●朝鮮日報 2021.09.10

現在の韓中関係の実態、中国の脅威、(中国から見て)第一列島線の内側にある韓国の地政学的な長所と短所がよく把握されている。じっくり読んでみてほしい。以下、引用。

 

「韓国映画やテレビドラマは、中国資本の投資がなければ制作自体が不可能な状態です。 ソウル市東大門区の包装配達や私債(サラ金)市場まで、事実上中国資本は掌握しています。 韓国の中国人は朝鮮族が多いので、中国共産党としての組織的介入も十分可能だと考えています」

30年以上にわたり中国の政治·外交を分析してきた慶熙大のチュ·ジェウ教授(54)の診断だ。 彼は米ウェスリアン(Wesleyan)大学卒業後の1990年9月、北京大学国際関係大学院に留学し、中国と縁を結んだ。

その後、現在まで「中国研究」を続けてきたチュ教授は『韓国人のための米中関係史:朝鮮戦争からサード葛藤まで』という単行本を2017年に出した。 先月発刊された『克中之計:韓国の巨大中国克服記1·政治外交安保編』にも主な筆者として参加した。 9月6日昼、ソウル光化門でチュ·ジェウ教授のインタビューを行った。

◇「中国、東大門市場の包装配達や私債市場まで掌握」
Q:最近、中国の韓国進出は以前とはずいぶん変わったようだが。
そうだ。一言でいえば、遠慮のない波状攻勢だ。 西欧で中国共産党の対外侵入工作機関とされる「孔子学院」が世界で初めて設立された国が韓国だ。 国家人口および教育機関の数からして、孔子学院の設置比率も韓国が世界最上位圏に属する。 大学や関連研究所などに中国当局の研究費支援が溢れている

Q:学界で体感はどの程度か。
端的に言って、韓国は中国の世界戦略プロジェクト「一帯一路」に関連し、中国を除いて最も多くの研究が行われている国だ。 一帯一路を重点的に研究する研究所までできている。 中国の組織的な宣伝攻勢に加え、韓国政府からの支援金まで溢れている。 親中政権の下で広がっていく奇現象だ。

◇「20カ国と衝突する中国…善い隣人ではない
Q:このように波状進出する中国は私たちにとって「善い隣人」なのか?
周辺国をまず見てみよう。 中国は陸上で14カ国、海上で6カ国の計20カ国と国境を接しているが、この国の中で中国を善き隣国と考える国は一国もない。 それもそのはず。中国は2013年の習近平共産党総書記就任後、2049年の世界一の国家目標達成に向け、手段や方法を問わず、自己中心的な行動を続けている。

チュ教授は「中国共産党は自国の一方的な行動が世界と周辺国にどのような波及を及ぼすかを全く考慮せず、技術奪取と奪取を繰り返し、国際的反則を繰り返している」とし、このように述べた。

「中国の夢」は普遍的価値と正当性を欠いている。 中華民族の復興と唯我独尊的成長だけが彼らの目標である。 米国と欧州連合(EU)も自国の利益に忠実だが、中国のように相手国を堂々と無視したりはしない。 中国の傍若無人、唯我独尊、一方的な行動は国際社会を超えて韓半島にとっても大変な危険要因だ。

Q:なぜ朝鮮半島に危険なのか。
中国が世界一を目標に国力を総動員し、米国など西側との緊張が高まっている。 歴史的に中国が対内外的に平坦だった時は周辺国と水平的な「朝貢外交」にとどまったが、緊張した危機局面の時は周辺国に服属を強要してきた。 西側との緊張·葛藤が高まり、韓国をさらに高圧的に脅かす可能性が高い。

◇「中国は国内統制を強化し、対外行為は乱暴になる」
Q:30年前と今の中国を比べると?
中国の改革開放開始(79年)から10年が経った頃から留学生活を始めた。 当時は中国社会にこれから法治が定着し、市民社会が発展し、制度が透明になるという期待感が大きかった。 しかし、今、中国は正反対だ。 国内的に統制と抑圧を強化しており、対外行為は乱暴になっている。 国際社会の規範や制度は無視している。

Q:韓中関係はどうか。
現在の韓中関係は韓国の国益と大韓民国という主権国家にふさわしくない。 韓国政府の「低姿勢外交」と中国の「高圧的な外交」により、韓中関係が間違っているにもかかわらず、誰も言わない。 こうした状態が続けば「韓国の中国への服属」がまた起こるだろう。

◇「中国に怖気づいて沈黙する韓国知識人」
Q:韓国の中国専門家や知識人たちは、なぜこのような現実に沈黙しているのか。
中国に不利益を被るのではないかという考えが強い。 中国当局は、韓国の学者や官僚の発言や寄稿文などをモニタリングしている。 しかし中国当局がビザ(visa)発給で制裁をする場合は、米議会の聴聞会に出席して中国を批判する程度でならなければならない。 韓国にはそれほどの実力と影響力を持った中国専門家がいない。 多くの専門家が勘違いして、怖がっている。

Q:他の理由があるとしたら?
もう一つ挙げるとすれば、韓国の学者、専門家、指導層が中国から特恵と好待遇を受けているからだ。 中国共産党の指揮の下、各省庁、傘下機関·研究所·大学が繰り広げる「シャープパワー」(資金支援、買収、脅迫、世論操作などの方法で影響力行使)攻勢に韓国のエリートたちが翻弄されている。

◇「韓国知識人、中国が刺激しないために自己検閲を繰り返す」
Q:韓国のエリートたちに小中華意識が染み込んでいるからか?
近代以前の時代に長く続いた「小中華意識」の影響もあるだろう。 しかし今はすべての国が譲渡できない主権(sovereignty)国家と認められ、これが当然視される時代だ。 韓国エリートは対中関係で「独立」と「自主意識」が貧弱だ。 中国が朝鮮半島で覇権的攻勢をしかけている中、韓国の指導層は中国の心を過剰に意識しながら、刺激しないように敗北主義的な自己検閲を繰り返している。

Q:「恐中症(中国恐怖の症状)」に陥ったようだ。 なんでこうなったんだろう?
3つの強迫観念に陥っているからだ。 韓半島統一に中国が決定的な役割を果たし、中国が北朝鮮の非核化の鍵を握っており、中国市場は絶対に失ってはならない非常に重要な場所だという強迫観念だ。 しかし、いずれも幻想であり、錯覚だ。

◇「3つの中国強迫観念に陥った韓指導層」
Q:どういう理由か。
中国は1992年の韓中国交樹立後も北朝鮮による朝鮮半島統一を一貫して支持している。 北朝鮮の非核化の場合、米国が中国に「行動しろ」と怒鳴りつけると、中国は仕方なく動くだけで、決定的な役割は果たせていない。韓国の2019年の対中貿易黒字は前年比で半分に減った. コロナ発生前に起きたこうした姿は政権レベルの低姿勢対中外交が韓国経済に役に立たないという証拠だ。

Q:韓国の右派政権の対中外交を評価するなら?
李明博、朴槿恵の右派政権は「韓国=親米」というイメージから中国共産党の待遇を受けた。08年の1年だけで、李明博大統領は胡錦濤中国共産党総書記と8度も首脳会談を行った。 親米政権という理由で中国の「ラブコール」を多く受けた。 しかし、右派政権は黄砂、粒子状物質、古代史のような分野で、我々の利益を確実に得ることができなかった。 ただ韓国企業の中国進出と成長には役立った。

Q:文在寅政権の対中外交はどうか。
韓中国交樹立後、中国共産党政権に対してこれほど盲目的に判断した韓国政権は初めてだ。 訪中の際、ひとり飯や随行記者への暴行といった外交的欠礼にまともに抗議すらできなかった。 現政権の支持者は文在寅大統領のひとり飯訪中と関連し、「内容」だけあればよく、「形式」は重要ではないと強弁する。 しかし中国共産党より「儀典」を重視する政権は世界にない。 中国における「形」上の軽蔑は実際にも蔑視だ。

◇「対中外交、右派は6~7点、文政権は4~5点」
Q:左右派政権の対中外交に点数をつけるとしたら?
右派政権に対して10点満点で6-7点をつけるとすれば、文在寅政権は4-5点になる。 韓国政権が米国と親密であるほど、中国は韓国をより重視し、より優遇したという歴史的教訓を得ることになる。 韓国の次期政権もこの点を肝に銘じるべきだ。

Q:文政権発足4年になるが、習近平主席の訪韓が実現していない。
私は「習近平総書記は文政権の任期中に絶対訪韓しない」と、2017年12月から公言している。 習近平が韓国に足を踏み入れる瞬間、それはサード問題が解決されたことを宣言することだ。 中国はサード問題を口実に韓米同盟の輪を切ることを最高の外交目標にしている。 サードが解決しない限り、習近平は来ないだろう。

同氏は「文在寅政権の他の大きな問題は中国共産党と韓国国民に”嘘”をつきすぎたという事実」とし「文政権は中国に対し、サードの問題を責任をもって解決すると大口をたたき、環境評価延期のような浅知恵を働かせたが、サードはそんな方式では絶対に解決できない」と述べた。

◇「中国の顔色をうかがう対中外交」
Q:来年(2022年)5月に発足する韓国の新政権に対中外交について助言するなら?
3つの対中強迫観念から脱し、中国の顔色を伺うのを止めるのが第一歩だ。 また、韓国自ら対中外交を通じて何を追求して得るのか、対中外交の原則と目標、価値を明確に立てて行動しなければならない。 最後に、韓国国民の目線で、これを考えて対中外交を展開しなければならない。

チュ教授は「盧武鉉政府まで韓国のエリートたちと一般国民の大衆認識世論調査をそれぞれ実施した。 06年の最後の調査を見ると、国会議員の60%は中国に好感を示した反面、一般国民の中国好感度は30%にとどまった。 こうした乖離を減らし、国民の安全と幸せを図る対中外交が必要だ」と強調した。

◇「韓国メディア、中国の韓国浸透を暴き公論化すべき」
Q:中国の脅威と波状的な浸透に韓国はどのように対応すべきか。
知識人と指導層の覚醒とともにマスコミの探査報道、公論化努力が切実だ。 08年の世界的な金融危機以降、米大学やシンクタンクが財政難に見舞われた際、中国資本が洪水のように押し寄せた。 この時、米国の主要メディアが攻撃的な探査報道でこれを暴き、国民に知らせ、危険性を指摘した。 数年前のオーストラリアもそうだった。 韓国でもメディアが中国の密かな韓国侵攻の実態と問題を積極的に伝え、公論化しなければならない。

Q:米中戦略競争時代における韓国の役割と価値は?
潜在的価値と現実的価値の両方とも限りなく大きい。 外交は生き物だ。韓国の地理的位置は不変だが、地政学的価値と役割は変わる。 冷戦時代、自由陣営と共産陣営の最前線に位置していた韓国の戦略的価値は、冷戦終結時には多少、低くなっていた。 しかし米中戦略競争時代は韓国の戦略的価値を再び高める好機だ。

Q: どんな理由で好機か?
一例として、韓国は中国の第1列島線(沖縄~台湾-フィリピン-ボルネオ島を結ぶ中国の海上防御線)の内側に含まれている唯一の国だ。 中国が太平洋に進出するためには、第1列島を突破しなければならない。 その要所の一つが大韓海峡だ。 大韓海峡が封鎖されれば中国は非常に困難になる。 また、韓国の軍事基地は中国の心臓部を近距離で狙うことができる。

◇「中国心臓部を狙う韓国の戦略的価値を活用すべき」
チュ教授は「政治家と政策決定者が韓国だけのこうした戦略的価値をしっかりと見抜いて大胆かつ戦略的に活用すれば韓国の活路と国益がはるかに大きくなるが、こうした意識が全くない、もしくは、非常に弱いのが残念」と述べた。

「米中戦略競争時代、韓国の国益がかかった事案には与野党の超党派的協力が欠かせない。 クアッド(Quad、米国、インド、日本、豪州4カ国の非公式安保会議体)参加のような問題に、韓国が超党的に取り組めば、米国と中国にレッドラインなどを提示し、それぞれとディール(deal)することができる。 そうすれば韓国は北東アジアの規範主導者(rule maker)として国家利益を極大化することができる。

Q:中国もそのような状況を歓迎するだろうか。
韓日米3カ国関係でも韓国が主導権を握るのが中国の立場としては良い。 韓国が抜けたまま日米同盟だけを強固に密着すれば、中国の安保負担はさらに大きくなる。 韓国を含む韓日米同盟の場合、韓国が中間で緩衝者の役割をすることができ、中国にとってより利益になる。 韓国の外交戦略、空間確保努力によって韓日米と中国の両面で国益に役立つ。 しかし今のように韓日関係の悪化で信頼が枯渇していると、そうした試みすら不可能だ。

 

引用終わり。

言っていることは素晴らしい。だが、日本はもちろん、米国からも、そしておそらく中国からも信頼が乏しい韓国の現状では、「地政学的価値」を国益の伸長に活かすのは困難だろう。むしろ、板挟みの苦悩が続く。
★山本光一の著書「中国に呑み込まれていく韓国」もぜひご一読ください 朝鮮族を先鋒に韓国を侵食する中国の怖さがよく分かります

約束を守ること、そして、愚劣で消耗的な反日をやめること、まずはそこからではないか?


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA