篠原常一郎氏のスクープ、文在寅らによる金正恩宛「忠誠誓詞文」(月刊Hanada2019年10月号)についての韓国専門家の見解

投稿者: | 2020年10月12日

文在寅らが2014年6月に、南北共同宣言(2000年6月15日、訪北した金大中大統領と金正日総書記による)14周年を記念し、10カ条の誓いをしたためて署名して金正恩に捧げたという「忠誠誓詞文」。その真贋について、韓国の専門家が語った内容を紹介しよう。

この専門家は、キム・ジョンボンさん。1957年生まれで、1979年に当時の中央情報部(KCIA)に採用され、2007年まで国情院に勤めた情報のプロだ。盧武鉉政権時代には、NSC情報管理室長も務めた。現在は評論家として、TV朝鮮やチャンネルA、聯合ニュースTVなどの報道番組に出演するほか、YouTubeチャンネル「キム・ジョンボンの安保フォーカス」も運営している。国情院時代、北朝鮮政策室長として勤務、北朝鮮の行動や人物の分析に優れていると評価されている。

キム・ジョンボンさんは「安保フォーカス 日本のHanadaの報道、文在寅の『北への忠誠の誓い』は事実か?」(2019/09/09)で、こう語っている。要点を記す。

・この文書については、文在寅が大統領に就任して(2017年5月10日)すぐ、17年6月14日にニュースタウンが報じた。
Hanadaの記事は、ニュースタウンの報道を新しい事実であるかのように報じたもの。
・ニュースタウンの報道を誰かが(篠原氏に)伝えたか、(篠原氏が)自分でインターネットで検索して見つけたか、どちらかだ。
・これは、脱北者団体が作成したようだ。捏造されたものである。
・文在寅の名前の「ジェイン」を「ジェイム」と変えたところで、文在寅と分かるので、検察の起訴対象になる。文字を少し変えて国家保安法違反から逃れようとしたというのは信憑性が低い。
・盟誓者リストにはNL(National Liberation 民族解放)系とPD(People’s Democracy 民衆民主)系が混ざっている。この2つは犬猿の仲だ。
・NL系は反米自主。外部勢力を排斥し、南北間の合意によって統一を成し遂げようという勢力。従北主義者とはNL系を指し、李石基(イソッキ)、任鍾晳(イムジョンソク)などがいる。
・PD系は民衆民主。民衆の暴力革命によって韓国の政権を転覆しようとする。PD系は正義党系列。魯会燦(ノフェチャン)、沈相奵(シムサンジョン)などがいる。
・この2つ系列が共同で誓詞文を作るのは困難だ。
・また、北の指令を直接受けている団体や個人と、韓国内で独自に親北社会主義活動をしている団体が共同で誓詞文を作るなど、信憑性がきわめて低い。
・李石基の内乱扇動事件(2012年)のときも、内部に密告者がいて、発覚した。
・もしこのような共同の誓詞文を作成した場合、団体や個人があまりにも広範囲なため、必ず裏切り者が出る。発覚したら10年以上の刑になる。共同でこれを作ったということの信憑性はきわめて低い。
・一部の小規模な団体や個人が朝鮮労働党に加入して誓詞文を、指を噛み切って血書でしたためることはある。そういうケースはとても多い。
・しかし、このような広範囲の個人や団体がいっしょに誓詞文を作成するのは、保安が守れないので、信憑性はきわめて低い。
・韓国の従北主義者たち、左派団体の人たちが北朝鮮に忠誠の誓詞文を送ったならば、統一戦線部が管轄するはずだが、こういう文書が公開されたことは、分断以降70年間、一度もない。
・この文書は韓国に来た脱北者が北朝鮮の文書であるかのように見せかけて作ったと個人的には判断している。
・日本の月刊誌Hanadaの報道内容は事実ではない。
・しかし、国内の従北勢力の中には朝鮮労働党に加入した人がたくさんいる。血書をしたためて忠誠を誓った人も多い。
・それらの文書は、ひとつずつ統一戦線部の地下の保管所に貯蔵されている。
・(韓国の左派の人たちが)金正恩ら金氏一家に忠誠を誓う可能性は常にあったし、今もある。しかし、我々は(証拠を)発見できていない。

驚くべきことに、キム・ジョンボンさんは「一部の小規模な団体や個人が朝鮮労働党に加入して誓詞文を、指を噛み切って血書でしたためることはある。そういうケースはとても多い」と言っている。

したがって、文在寅らは北の労働党の秘密党員みたいなもので、北の指示を受けて、いろいろなことを南でやってきた可能性は十分にある。しかし、そのことと、この「忠誠誓詞文」が本物かは、まったく別の問題だ。

そして、これは本物ではない。脱北者らによって捏造されたものとみられるとした。これが韓国の情報の専門家の見解だ。

それから、(篠原氏が)自分でインターネットで検索して(ニュースタウンの記事を)見つけたのかもしれないともあるが…、篠原氏はハングルの文字は多少、見分けられるらしいので、この可能性もなくはないのかもしれない。本人に確認したい点だ。

※訃報 キム・ジョンボンさんは、私がこの記事をアップして2日も経たない、10月14日午前6時、膵膓癌で亡くなった。合掌。


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