「日本は歴史問題を国内政治に利用している」という文在寅大統領発言をめぐるカン長官と黒田記者のやり取り

投稿者: | 2019年5月12日

文在寅大統領は2日、元閣僚などを招いて開いた昼食会の場で、いわゆる徴用工をめぐって日韓がもめていることなどを念頭に、「日本が歴史問題を国内政治に利用して問題を増幅させる傾向があり、とても残念だ」と述べました。

当然、日本側はこの発言に反発しました。逆だろう!!と。

これに関して、ぜひ紹介したいと思っていた興味深い日韓のやり取りがあります。このところ、ちょっと忙しくて少し遅れましたが、いま書いておきます。

翌3日に行われた外信記者懇談会でのカン・ギョンファ韓国外交部長官と産経新聞の黒田勝弘記者の質疑応答。両者の発言をじっくりと吟味してみてください。

こんなやり取りでした。

24:03 産経新聞の黒田です。大統領が「日本は歴史問題を国内政治に利用している」と言いました。長官も同じ考えですか? もしそうなら、具体的にどういう点がそうだと思うのですか? 日本では韓国のほうが歴史問題を国内政治に利用していると考えています。なぜなら、今年は三一運動百周年、親日清算の話がたくさん出ているではないですか? だから、むしろ(歴史を政治に利用しているのは)韓国のほうではないかと思うのです。外交部が日本に関するあやまった情報や大統領府に伝え、大統領がそういうことをおっしゃったのではないかという疑いを持っています。

25:05 大統領がそうおっしゃったことについて、私が説明をする状況ではありませんが、大統領の基本的な意思は、本当に韓日関係を未来志向的に、心から、隣人として互いに協力して進みたいということ。そうい意思をお持ちです。しかし、過去の歴史の問題、特に最高裁が過去の歴史の問題で判決を出したことは事実です。この判決には多くの国民の願いが込められています。そういう韓国の国民の状況や司法府の判決も尊重していかなければならないというのが政府の立場です。

三一運動、臨時政府樹立百周年を政府の持つあらゆる意志(心や思い)と資源を動員して祝い、さまざまな行事を行うことは、きわめて当然のことと思います。それを韓国政府が歴史問題を国内政治に利用しているとみるのは、むしろ政治的に歪んだ見方ではないかと思います。外交部としては、この困難の中でも、両国関係をしっかり管理し、状況が悪化しないように日本の外務省と随時、コミュニケーションをとりながら調整しています。外交部の役割は両国関係が困難なときほど、しっかり管理することだと思います。したがって、外交部があやまった資料を大統領にお伝えしたため、大統領がそういうことをおっしゃったなどということには、まったく同意できません。(26:46)

黒田記者は立派ですね。長官に対して、面と向かって「外交部が日本に関するあやまった情報や大統領府に伝え、大統領がそういうことをおっしゃったのではないか」と、相当に踏み込んだ質問をしています。

この点について答えるとき、カン・ギョンファ長官の表情と声にはやや怒気がありました。(笑い)

この文在寅大統領発言をどう見るか、ということにつきましては、18日の代表の公演のあとの懇親会のときにでも、時間があれば、私の見解をさくっとお話ししたいと思います。


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